説明
みなさん、ごきげんよう。いかがお過ごしかしら。
わたくしが先日、福島に行ったのは覚えていらっしゃって? あれからすっかり福島が気に入ってしまって、しばらく福島に滞在していたのだけれど、運転手の吉井がまた良い物件を見つけたと言うの。有能すぎない?
吉井「この吉井、奥様のためでしたら火の中、水の中……」
それはちょっと忠誠心が重いわ。
吉井「失礼いたしました」
で、今回は福島のどこに行くの?
吉井「田村市でございます」

まあ! 田村市と言えば、市の約7割が森林で、その山あいを縫って田畑が広がっているという自然いっぱいの町じゃないの!
吉井「よく覚えていらっしゃいましたね」
もちろんよ。だってこの前、行ったばかりじゃない。インフラ整備や農産物のブランド化を積極的に進めていて、林業関連の民間事業もいくつかあるし、確か、森林組合も2つあったのよね。移住支援制度も充実していて、移住者も多いんでしょう?
吉井「その通りでございます! そのように覚えてくださってこの吉井、感激しております……!」
で、1000m級の山々に渓流、鍾乳洞があるんでしょう? 有名なのはあぶくま洞、入水鍾乳洞だったかしら?
吉井「奥様の記憶力には脱帽です。特に今日の物件のオーナー様は移ヶ岳がお気に入りなのだとか」

移ヶ岳
あら、それは初めて聞くわ。
吉井「片曽根山・高柴山・鎌倉岳・日山とともに『ふねひき五山』のひとつに数えられる名山でございます。山頂からは360度の大パノラマを体感できるそうです」
今日は登山はちょっと無理そうだけれど、眺めることにしましょう!
吉井「今日は少々曇っておりますが、山は見られそうですね。物件は磐越自動車道『船引三春I.C』、磐越東線『船引駅』から車で20~30分ほどかかりますが、そのぶん、自然豊かな田園地帯となっているようです」

あら、物件が見えてきたのかしら?
吉井「さて、ここから車を降りていただきまして、歩きます。少し急坂ですが」
歩く機会が増えたから、最近はお気に入りのスニーカーを履くようにしているのよ! 今日もしっかり歩いちゃうんだから!

こんなに自然いっぱいのところを歩いていると、体に良さそうよね。ふぅ、ふぅ……。
吉井「良い運動になるかと」
がんばるわ!

小さな坂を登って、建物が見える瞬間が最高ね!この少しずつ物件に近づいていく感じ、好きだわ!

あら! かなり大きいわね!
吉井「こちらで100円になります」
あなた、ずいぶんサラッと言うようになったわね。でも、わたくしも100円で驚かなくなってきたわ……。
吉井「いえ、奥様。今回はまだ続きがございます」
何かしら。聞かせて。
吉井「ほかにも田んぼや畑、山林などを所有していらっしゃるそうで、合わせて1271.45㎡が100円です」
……言葉をなくすってこういうことを言うのね。それだけの土地を100円、というところにがぜん興味が湧いてきたわ!
まず建物は……茅葺屋根かしら。

趣があっていいわね。
吉井「40年ほど前に壁やサッシなどは手入れされているそうですが、建物自体は明治ごろのものだそうです。少々、傾いてもいるようですが」

本当ね。サッシだとかは新しさを感じるわ。でも土台には歴史を感じる……。
明治からしっかりとこの土地を見守ってきたのね……この雄大な自然を。

吉井「では、さっそく中に入ってみましょうか」
そうね!ワクワクするわ~!
建物が傾いているという話だったけれど、手入れがしてあるからか、そんなふうには見えないわね……。さてさて、どんなふうになっているのかしら。

悪いものからしっかりと守ってくれそうな玄関でいいわね!
そしてこの土壁の感じ、なつかしさを感じるわ。

中もわりときれいね。明治時代に建てられたものとは思えないわ!
まずこちらの部屋は……

明治と言うより、昭和の空気を感じるわね。こういう障子が良いのよね、味があって。


これは造り付けの棚かしら?
吉井「そのようにも見えますね。経年で良い味が……」
こういうのって、技術じゃどうにもならないものなのよね。得難いものだわ。


こちらの部屋は傷みも少なくてきれいね!
このピンクのライトもかわいいわ! これをアクセントにしたリノベーションをしてもいいかも。
置いてあるものも活用できそうだし、問題ないんじゃないかしら。さっきのお部屋と少し雰囲気が違うのもポイント高めね。

わたくしとしては、縁側風の廊下も好きよ!
吉井「雨の日に洗濯を干しておくのも良さそうですが、晴れの日にこちらでお茶をいただくのも良さそうですね」


吉井「こちらは少々、荷物が多くなっていますが……」
歴史を感じさせるようなものも多いわね。写真はオーナーさんのご家族のものかしら。そういえば、オーナーさんはどうしてこの家を手放すことに?
吉井「ご本人も高校卒業まではこの家にお住まいになっていたそうです。ただ、ご両親が亡くなられてから、この辺りに住む身内の方もいらっしゃらず、空き家となってしまったようですね」
オーナーさんの思い出も詰まっているおうちなのね。そういう話を聞くとグッとくるものがあるわ。
吉井「ひとつひとつの部屋にも思い出がありますからね」
じゃあ、このリビングもいろんな思い出がありそう!それにしても広々しているわね……!


それにとってもきれい。レトロな家電も素敵に見えてくるわ。

あら、冷蔵庫もあるわ。こちらが台所ね。

戸棚かしら、引き戸のデザインがステキ。調理周りも使い勝手が良さそうね。台所とリビングが扉で仕切られているのは人によっては嬉しいんじゃないかしら。
吉井「それはどうしてまた?」
料理をする人のなかには、台所にこだわりたい、台所が我が城!だと思う人もいるじゃない? わたくしはそうでもないけれど。
となると気になるのは水回りね。
吉井「そうおっしゃると思いました。こちらです。まず脱衣所がありまして……」

脱衣所が広々としているのはいいわね。お風呂上りに椅子を置いて休んだりもできそう。独立洗面所があるのも嬉しいポイントよね。
吉井「で、こちらが浴室になります」

あらあらあらあら! かわいい!
バスタブが小さいところに時代を感じるわ。足が伸ばせないけれど、これはこれでかわいいのよね。

それにピンクの壁がかわいい!
吉井「窓が大きいのも良いのでは? 明るい時間帯の入浴も気分が良さそうです」
そうなのよ! よくわかってるわね、吉井!昼間の入浴ってプチ贅沢なのよね~。
吉井「どの部屋もあるものを活かしたリノベーションができそうですね」
あら、そういえば、トイレがないんじゃない?
吉井「実はトイレはこちらになります」
えっ、吉井、外に行くの?

吉井「はい。あの建物がトイレになります」
まあ、珍しいタイプね!

吉井「和式の汲み取り式になります」
広々とした外の建物のトイレっていうのも悪くないわね。夜は怖いかもしれないから、灯りはしっかりとつけて……。
吉井「ただ、水は移ヶ岳の中腹にある自己名義の山林から引いているそうです。その水を数軒で使用していまして、上下水道はございません」
そういえば、電気やガスはどうなっているの?
吉井「電気は配線済みです。ガスはプロパン、お風呂は灯油で沸かすものになっています」
そのあたりはリノベーションする際に相談する形がいいのかしら。どういう使い道をするにしても、上下水道やガスはしっかりさせておかないとね。


母屋外観(別アングル)
平屋の一軒家で田畑、山林もあるとなると、活用の仕方もいろいろね。
移住して田舎暮らしもいいでしょうし、この田んぼを活用するのもいいし。

吉井「『先祖伝来の土地をバラバラに処分するようなことはできればしたくないので、所有する田・畑・山林等を一括して譲りたい』とオーナー様も希望されていますので、それらを活用したものが良いですね」
農業やキャンプだとか、そういった自然体験ができる民泊にするのもいいわね。自然派のカフェやレストランもいいんじゃないかしら。自分たちで作った野菜を出したりして。ヤギを飼うのもいいかも! 雑草なんかを食べてくれるらしいの。
吉井「広い土地をそのまま生かしたリノベーションを考えるのが良さそうですね」

でも、私が想いを寄せるあの人にはここは不向きかしら……。ギターをかき鳴らせる場所がないもの。
吉井「とんでもありません、奥様。自然の中でギターを鳴らすのも良いかと。野菜の生育に音楽はいいと聞いております」
確かにそうね!まずは、広い土地をどんなふうに使うか、計画を練ってみましょう!移住支援制度も充実していると聞くし、そちらに相談してみるのもいいかもしれないわ。
吉井「奥様のあくなき探求心……吉井、脱帽いたしました!」
さあ、行くわよ、吉井!




